ディレクター
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 『メテオス』の開発において特徴的なこととして、ディレクターがマスターアップ3ヶ月前にして決まった、ということが挙げられる。これがだいたい10月ごろ。
 
 通常、"ディレクター"の仕事には大きく分けて4つの要素があると思う。
  • 企画を考え、立案し、各種アイデアを出す。
  • ゲームの仕様書を書き、スタッフに必要な仕様を伝える。
  • スケジュールを切ったり、現場で必要な舵取りと判断をおこなう。
  • ゲームバランスを調整する。
 おおざっぱに言えば、私は最初と最後、一人いる企画氏は2番目、新たに決まったディレクターは3番目の項目を担当している。いわゆる"ディレクター"の機能は、このプロジェクトでは3分割されているのだ。
 
 分業自体は、ゲーム業界では決して珍しいことではない。
 水口さんは、"クリエイティブディレクター"とか"テクニカルディレクター"とか呼んでいた。
 
 
 これまで、つまり10月までは、私の要望をML(メーリングリスト:つまりプロジェクト関係者全員に届くメール)に投げ、それを企画氏が解釈し、仕様を書き、不明瞭な点や細部を打ち合わせたりメールでやりとりしたりすることで進行していた。
 
 書いたメールの数と量は多かったが、少なくとも期間に対するモノの仕上がりは、あんまり芳しくなかったと思う。それは、機材が少なかったりしたことも大きな一因だろうけれど、もっと大きな問題があった。
 
 人数が少ないプロジェクトだったけれど、MLに投げた仕様などについて、個々の担当者からの見解、感じていること、代替仕様提案などの投稿は無かった。かと言って、誰かから必要な情報がまとめて送られてきたかと言えば、そうでもなかったと思う。メールを返していたのは、主に企画氏とチーフデザイナーであり、各担当者からではなかった。
 
 それは現場をとりまとめた結果なのかもしれないけれど、それが私からはわからない。おそらく、私がMLに投げる要望も、担当者が自分の仕事だと感じるまでにワンクッションあるのだろうと思う。
 
 これは私が思っている解釈と現場の解釈が異なる場合や、費用対効果上適切な仕様を検討する場合に不利なので、少なくともあまり健康的なことではなさそうだ。
 
 もし、私が考えていることが現場に伝わっているかどうか私にはわからず、指示を出してもなぜそうするのかが現場の人間にはわからなかったとしたら、ゲーム開発は厳しいものになる。全ては現場にずっといない私が悪いのだが……。
 
 もちろんQに出社し、直接の打ち合わせも適宜おこなっていたので、全部が全部そうだというわけではない。しかし、それでもコンセンサスが足りない。現状から考えると、現場に対するやりとりが少なすぎるようだ。それは大きな反省点だった。
 
 こういう、遠隔地での仕事ははじめてではないけれど、今回はうまくいっていないのは確か。少し困っていた。
 
 そこで、今までプラネットビューワーなどを担当していたメインプログラマーが、ディレクターをやることになった。
 
 なぜ企画氏がディレクターにならなかったのかと言えば、ゲーム業界での経験がまだ浅いからだそうだ。そういうこともあるのだろうと思う。

(つづき→)


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